
伊豆三津シーパラダイスのWebサイトおよび新聞報道によると、1997年に和歌山県太地町で捕獲されたシャチの一頭であり同館が収容している「アスカ」(メス)が、2007年9月19日に死亡したとのことです。死亡時の年齢は21歳前後と思われます。
死亡直後に行われた解剖の所見では死因は不明であり、同館は病理検査のために岐阜大学に組織標本を送付したと発表しています。
アスカはアイスランドで捕獲後フランスの水族館から同館に輸入された「ヤマト」(旧称"Tanouk")との繁殖を企図して購入されたと言われます (*)。しかし、パートナーのヤマトは2000年10月に死亡し繁殖は失敗、以後、アスカは自然の湾を網で仕切った生け簀の中で、日に数回の「パフォーマンス」を演じる日々を送ってきました。シャチ捕獲の名目であった「学術研究」につき、10年の間にいかなる成果が上がっているのかについても、具体的に一般の人が知る機会もありませんでした。
これで、1997年に太地町で捕獲された5頭のシャチ (通称TAIJI5)は5頭中4頭が死亡し、生存個体は、太地町立くじらの博物館から名古屋港水族館に2003年から5 年間の契約でリースされている「クー」ただ一頭となってしまいました。
シャチを仲間の元に帰すことができれば。せめて同じ群れのメンバである「クー」と「アスカ」とを再会させることができれば。さまざまな人が努力を重ねてきましたが、遂にかなわぬまま「アスカ」は死に、「クー」は孤独となってしまいました。 捕獲以来10年間、5頭のシャチをめぐる運動にかかわってきた立場として、無力さと、謝罪の念を感じずにはいられません。
このWebサイトをご覧になられている方の中には、アスカからシャチの素晴らしさを学んだ方もおいでになると思います。しかし、私たちがYouTubeにアップロードしている動画をご覧いただければわかるように、アスカと彼女の一族は、そのためにあまりにも大きな代償を払うことを強いられました。1997 年に行われた「学術目的の捕獲」の実態は、飼育施設の需要が求めるままに、日本沿岸のシャチという希少な野生動物の未来を担う若い個体を、事前の生態調査を行うこと抜きに、群れの中から間引いてしまうことでした。
もし皆さんがこのようなことを繰り返したくないと感じられるならば、アスカへの感謝の念とともに、代替のシャチを得るために野生からの捕獲を決して計画しないように、皆さん自身の声を以下の施設、会社に伝えてください。
伊豆三津シーパラダイス
〒410-0295 静岡県沼津市内浦長浜3-1
Tel. 055-943-2331 / Fax. 055-943-2336
伊豆箱根鉄道
静岡県三島市大場300番地
(*) 大西洋のヤマトと太平洋のアスカという、全く異なる海域出身のシャチ同士を交配する発想には、元来大きな問題があります。